君想論 〜2人のサヤカ〜



[さやか]だか[サヤカ]だか……

意味不明もいいところだ。


「何を言ってるのかイマイチわかんねーぞ」

「理解なんざ端から求めちゃいねぇーよ。ただ、知り得た上でコッチの要求をのみさえすれば話は終わる」


何もかも上から目線なのが微妙に癇に触るぜ。

“サヤカ”と名乗る少女は、冷たい視線を送りつつ話を続けた。




「お前の言う通り、あたし達は多重人格者って奴だ。このことをお前が面白がってベラベラ吹聴されると迷惑だ」

「……それは難しいんじゃないか……??」

「あ゙ぁ……??」


おー、恐い恐い。


「雑念だらけの無っ知無知のオレですら解けちまったそのナゾナゾを隠し通せると思ってんのか??」

「……………」

「無駄だと思うけどな〜……知られたくない隠し事ってのは綺麗に包み隠すもんだよ。転校して2、3日でバレるようじゃ――……」


“サヤカ”はオレのありがたい高説にも、徐々に顔をしかめ口を挟んだ。


「……おい……勘違いしてんじゃねぇーぞ。あたしは「お願いします」って頭下げてるつもりはない。お前はただ従えばいい。誰にも口外するな。そして、二度とあたし達に関わるな。それだけだ」

「……………」