―屋上―
よくもまぁ、ここまで引きずってきたモンだ。
さすがに、階段の前に差し掛かった時は地に脚を付けたが、その間も抵抗する術もなく12段もある階段を登らされたよ。
「はぁ……!!!!はぁ……!!!!」
屋上までたどり着いた所でやっと解放され、オレは息を荒立てオキシジェンの供給に勤しんだ。
酸素ってステキ。
「おい……ハァ……梧ー!!??……ハァ……お前……何のつもりだぁ……!!??……ハァ……」
「……………」
[梧 清花]は答えず、杖を使ってツカツカと屋上の中央に位置する場へと足を進めた。
そして、杖を軸にくるっと体を反転させ、牛乳を拭いた後の雑巾を見るような視線をオレに向けた。
「さてと……何からするべ…き…か……」
右手でコメカミの辺りをポリポリ掻きながら何やらシンキングタイム。
オレ、帰っていいかな??
「おい、お前!!!!」
「あぁ……何だよ……??」
「あたしが今から話すこと、誰にも口外すんじゃねぇーぞ??したら、あたしはテメェーをブチのめしただけじゃ済まなくなっちまう」
そりゃねーよ、さっちゃん……
「話があるならサッサと済ましてくれまいか……??」
「うっせーな。コッチも何から話せばいいのかわかんねぇーんだ糞野郎」
口悪ぃーな。
「あ〜…クソ……めんどくせぇ……何であたしがこんな野郎に……」
「……………」
ブツブツと悪態を付いているようだが、ここで桐野くんもようやく頭を冷静に働かせることが出来るようになってきた。


