[梧 清花]はオレの座高を少し越える位置から、冷ややかな視線を下ろしていた。

既存のクラスメート達からの注目を浴びつつ、[梧 清花]は、オレのブレザーの襟を右手で鷲掴みにしたまま淡々とした口調で言った。


「お前……[桐野 泉]だよな……??」

「は…はぁ……」


まぁ……桐野くんは[桐野 泉]ですけど……

一体、何のご用だい……??

そう質問する前に、[梧 清花]に動きがあった。


「話がある」

「へっ??」

「ちょっと面貸せ」

「話って……って、ちょッ!!!???」




グワっ!!!!


っと、視界が勢いよくブレた!!!!

何事かと思えば、[梧 清花]はなんとオレを掴む右手を思い切り後ろ向きに引いたのだ!!!!

それはとんでもない馬鹿力。

着席していた桐野くんは、後ろから加えられた運動ベクトルを堪えきれず、椅子ごと後ろにひっくり返った。


ガタンッ!!っと勢いよく椅子が音を立てて倒れ、教室中の視線を一挙に呼び寄せた!!!!

オレはと言えば、当たり前のように椅子から放り出されたが、床に倒れ伏せようにも、襟首を掴まれてるモンだから宙ぶらりんで、


「ぐぇッ!!!???」


っとなっている状態だ。


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