君想論 〜2人のサヤカ〜



さり気なーく、聞いてみよう。

決ッして下心はないんだぜ……??


「椎名はどの辺りに住んでるんだ……??」

「あ、実家は市外にあるんですけど……今、私が生活しているアパートはえぇ〜っと…………あっちの方にあります♪」


椎名ちゃん、そっちには田んぼしかないよ。


「ここからだとまだ見えませんが、あっちのズ〜〜ッと行った所の住宅街にあるアパートに住んでいます♪」


学校から結構遠いから不便なんですけど、っと付け加える。

だったら尚更、この少女が目の前にいるのは不自然だ。

つまるところ、彼女がよほど学校を遠回りしたルートを選んでなければオレと遭遇することはありえないんだ。


「……あっちの方に住んでるんだったら、どうして今朝はオレと肩を並べて一緒に歩くこの状況に至ったんだ……??」


健全な男子高校生の切なる妄想を働かすとなると、その答えは「どうしてもアナタと一緒に登校したかったの☆キャ」が一番胸キュンするのだが……

現実はそう甘くはない……何故なら、その答えに至るために必要な条件に[そもそもこの子が桐野くんの登校ルートを把握している]というものがある。

昨日、会ったばかりの子がオレの登校ルート、ましてやオレの住む家を知っている訳がない。


残念無念……

だがしかーし!!!!




「桐野さんと一緒に登校したくて、こっちまで来ちゃいました♪」




どうやら『ムフフ』の神様は重い腰を上げ、桐野くんに恩恵を授けようとしているらしい。


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