冷女と野獣



「ああ、おはよう冷子。」

「……お父さん…」


そう父親が居たのだ。



「もう、冷子ったら顔ぐらい洗ってきなさいよ」

普段とは違う柔らかい口調で母親は私に言った。


父親がいるから母親はこんなにも優しかったんだ…

私に、ではなく

いい母親を父親の前で見せたかったのだ。



「………ごめんなさい、私朝ご飯いらない。もう学校に遅れちゃうから…」

小さな声でボソッと呟き私はリビングを後にした。

“いい母親”を演じている母親に吐き気がしたからだ。


気持ち悪い…




私は洗面台に行き顔を数回洗った後、リビングにいる両親に何も告げずに家を出た。