「気づけば遠い道のりだった」
「え?」
まゆみはいつも通り饒舌だ。
「えっじゃないわよ。私とたくまの事。」
「あ、うん。」
「ちゃんときいてたの?」
「もちろん」
久々に会った大学の友達はあい変わらず恋愛中心の生活をおくっているようだ。「で 百合子は?」
「何が?」
「何がじゃないわよ。あっちのほうはどうよ。」
ランチのパスタをもてあそびながらまゆみがきく。
「うん 順調 順調。高校生はかわいいわ」
「え!?まじ!?」「うん かわいい かわいい 生意気なこといっても つい自分の生徒だと許しちゃう。」
「あんた 捕まるわよ」
「なんで?」
「なんでって未成年に手だしたら…」
「ばか!な わけないでしょ。仕事のことよ!クラスでのこと。高校生とつきあうわけないでしょ!」
「あー!びっくりした!」
「こっちがびっくりよ!」
百合子は最後に残したプチトマトにフォークをつきさしてがぶりと食べた。
「でもプチトマトおいしいんじゃないのー?あこがれちゃうな 禁断の愛!」
「プチトマトはおいしいけどあの子たちはプチトマトじゃないの。それに十も年が違うのよ。」
「あら 年の差なんて関係ないわよ あの年代の子供達には。今年上ブームだしー。」
そういうとまゆみもプチトマトをきれいにマニキュアのぬってある爪で上品につまんでパクッとほうばる。
「年下興味ないくせに」
「私はね。百合子はわかんないじゃない」
「私も年上がいいわ」
「あらそう じゃ子守大変ね。」