今日は母は友達と出掛けてていないし、弟も部活で帰りが遅い。

自分の部屋に入って部屋着にも着替えないでベッドに倒れこむ。

仰向けになって、真っ白な天井に向かって両手を伸ばした。
左の薬指には光る指輪。

『これを僕の代わりだと思って下さい。会えなくて寂しいときは僕もこれを見て貴方を思い出します。』

琢磨の言葉が蘇る。
あたしの涙腺が緩む。
視界が歪む。


別れて3日も経つのに外せない。
外したら本当に何もかもが終わってしまいそうで、外せなかった。
琢磨の中ではとっくに終わってるんだろうけど。
どうしても外せない。

いっそあたしの指に溶け込んでしまえばいい。

ぐるぐると思案を巡らせていると、睡魔に襲われた。
DVDなんて見てないけど、寝不足って言うのは嘘じゃない。

夜独りになると琢磨のことを考えずにはいられなくて、もう枯れたと思ってた涙が次から次へと出てくるから。
だから眠れない。

3日振りに訪れた睡魔に抵抗もせずあたしは眠りについた。

目が覚めたら全部夢だったら良いのに。