でも、琢磨は社会人であたしは学生。
もちろん会える時間なんてあんまりない。
それでもたまに2人で一緒にいられれば、それだけで良かった。
会いたかったけど、我儘は言えない。ただでさえあたしは4つも年下で子供なのに、困らせて嫌われたくなかった。

会社でだってきっと琢磨はモテるんだろう。
そんなことを考えると不安でたまらなかった。
なんであたしはあと4年早く生まれなかったんだろう。
考えても無駄なことばかりで埋め尽くされる。

琢磨の仕事が忙しくなってきて、そろそろ2人とも限界だった。

喧嘩が多くなった。
あたしが一方的に怒るだけのくだらない喧嘩。
仲直りしてもまた喧嘩の繰り返し。

そして3日前ついにその日はやってきた。

「琢磨なんて嫌い!大っ嫌い!!」

「そうですか。」

「なに…それ?もうやだ、こんなのやだよ。」

「そうですね。じゃあ別れましょうか?」

話も聞かずに責め立てるあたしに、溜息を吐きながら琢磨が言った。

「うん。もういいや。バイバイ。」

泣かずにこれだけ言うのがあたしの精一杯の強がりだった。