春休み、2人とも無事就活と受験を終了させて落ちつき始めたころ、琢磨に電話で呼ばれた。

『今から会えませんか?』

もちろんあたしは久しぶりに琢磨に会えるのが嬉しくて、飛んで行ったのを覚えてる。

2人で近くの公園に行って、琢磨が買ってくれたココアを飲んでるとき、唐突に琢磨が口を開いた。

「優衣さんは今付き合ってる人いるんですか?」

「はっ…!?い、いや、いない、い、いないけど。」

あたしが驚いてあたふたしていると、隣に座っていた琢磨は立ち上がって真剣な顔をして言った。

「好きなんです。」

一瞬自分の耳を疑った。

「好きなんです。それだけどうしても伝えたくて…」

琢磨があたしを好き?
思ってもいなかった展開に、あたしの頭じゃ事態についていけず、返事をしたいのに言葉も出てこない。
何か言わなきゃ、言わなくちゃ…!
焦る気持ちが余計に言葉をもつれさせる。

「すみません。いいんです。もう会うこともないですし、忘れてくれていいですから…。困らせちゃってすみません…」

困ったように琢磨が笑った。

違うのに…!
もうどうしようもなくて、あたしは琢磨に抱きついた。

「えっ!?優衣さん!?」

初めはびっくりしていた琢磨だけど、少ししてあたしの背中に腕を回してくれた。

この日からあたしたちは恋人同士になった。