て、なんで!
ボーっと青野の正面に座っていたあたしは、ハッと我に返った
なんとなく、さっきからつづいてる沈黙を破りたくてあたしは口を開いた
「あのさ」
「なんか」
と、まぁ、見事に被るし…
「え、な、何?」
聞き返したあたしに
青野はそのまま続けた。
「いや、なんか、物凄く誤解が生まれてんね」
苦笑いを浮かべる青野
「あ、だよね……唯と鈴木くん、ホント何で人の話を聞こうとしないのかな…」
同じく引きつった表情を見せるあたし
「ん、何食べる?」
気が付いたようにメニューを掴んでテーブルに広げる青野
「あ、あたしはお肉よりケーキ…」
……和んでる場合?
まあ、確かに今この現状を喜んでる自分がいる
だけど、実咲のことを考えると
あたしがこんなことを
してちゃいけないんだって
「ケーキすんの?」
ぴたりととまったあたしの方を見て、尋ねてくる青野
「…あ、彩?」
ボーっとそのまま青野を捕らえるあたしの瞳
そんなあたしを見て眉を寄せる青野
「彩?」
もう一度、あたしの名前を呼ぶ青野
あたしの頭の中では
今、実咲の親友を優先させるべきか
今だけ、青野に恋するあたしでいてもいいか
格闘中だ

