「原子の数をхとして、O2の原子は………」
先生の声が耳をとおりすぎていく
黙々とノートを執って
黒板とノートを行ったり来たりするあたしの視線
妙に開いた距離を
ジーッと見つめるように
視線が刺さる。
「…………………。」
なんとも言えない空気が
あたしと、あたしの隣…
青野の間に絶え間なく流れている。
「なぁ…」
小さな声を出したのは青野
「……………なに?」
黒板に目を向けたまま
素っ気なく返した。
「この距離…何?」
端っこすれすれに位置するあたしと
普通に座っている青野
机と椅子は一繋がりになっていて
ちょうど二人で一つの机の配置。
もちろん、席替えの面倒な理科の先生は、出席番号順。
おかげで、青野くんとは隣。
て、今は嬉しくないよ
「別に…」
目をあさっての方向に向け
ぎこちないあたしの動き。

