記憶ない。そう思うと胸が苦しくなる。




私とマリーの事は覚えていないんだね。




だから須美香さんと結婚する事を決めた。




真ちゃんに取っては当たり前の事だ。




夢見ていた私がバカだった。




だから私もあの約束を忘れようと思う。




え、どうしたの?




真ちゃんが頭を押さえてうずくまっていた。




「東上先生大丈夫? 」




「少し休めば落ち着くから大丈夫だ、心配するな。」



本当に大丈夫なのだろうか。




私は椅子がある所まで、東上先生を連れて行った。




「俺さ記憶がないんだよ。高校の時と中学の時の記憶が、幼い頃の事は少し思い出したけど。」




なんて言っていいのか分からない。




「俺、なんか大切な事忘れてる気がしてならないんだ。飛鳥を見た時、この笑顔何処かで見た気がした。飛鳥は俺と会った事があるのか?」




真ちゃんを苦しめたくなくて、私は左右に首を振った。




「そうだよな、そんな訳ないよな。」




やだ、涙が溢れそうだよ。