偽装婚約~秘密の関係~





瑞季が沙羅の肩に手を置き、

何か必死に言い聞かせている。


そんな姿を真っ直ぐに見つめながら俺は1歩1歩2人のもとへ近づいて行く。


そのうち、

沙羅の目から大粒の涙が溢れだす。


今すぐにでも沙羅に駆け寄りたかった。

でも、できないと思った。


…俺に、勇気がなかったから。


呼吸を整えるために、

深く、深く、深呼吸する。


そうすると、今まで沙羅と瑞季の姿しか見えなかったが、徐々に周りの顔が見えてきた。

どの人も何事かと目を輝かせてやがる。


見世物じゃねーんだよ、

そう思ったが、

でも、良い機会だ。


見せてやる。

この俺の雄姿。