偽装婚約~秘密の関係~





『そうは言ってもな、俺は意志を曲げることは絶対ないぞ?』


『んなの分かってる。

だいたいそれは俺も同じだしな。


でも、そういうワケにはいかない。

なあ、月島。

どうしたら沙羅を渡してくれる?

お前は俺に、何を求めてるんだ?』


月島は俺を真っ直ぐに見たまま黙った。

しばらくの間、沈黙が漂う。


イライラして、貧乏ゆすりが治まらなかった。



『…俺は、お前に何も求めてない』


俺の中の何かが、切れた音がした。

机を思い切り殴り、月島の胸ぐらを掴む。


『遊馬様、手を離していただけますか』


すかさず、執事の葉山が来る。



『葉山、さがれ』


月島がそう言うと葉山は元の場所に戻った。



『そう感情的になるなよ、遊馬。』


『うるせえ。

てめえはこのままでいいのかよ。


なんだよ、求めるものはない、って。

じゃあっ!じゃあどうすれば沙羅を返してくれるんだ?!』