寝られそうにない。

と思っていても所詮、俺とて人間。


よほど疲れていたのかあっという間に夢の中にいた。


そしていつもより少し早めに目が覚める。



『おはようございます、晴弥様』


『ああ』


いつも思うことがある。

瑞季はいったいいつも何時に起きているのだろう。


俺がどんな時間に起きようとも必ずコイツはいつもリビングにいる。

付き合いは長いが未だに俺は瑞季という人間を把握しきれていない。



『先にお風呂になさいますか?

それとも朝食になさいますか?』


『先に食べる。

その間に風呂を沸かしといてくれ』


『かしこまりました』


すぐにテーブルの上に朝食が並べられ、瑞季は風呂場に向かう。



…あー…ウマイ。

コーヒーってこんなうまかったっけ?


体にコーヒーが染みわたる。

相変わらず瑞季の淹れるコーヒーはうますぎるな。


コイツがカフェでも開こうもんならまたたくまに大繁盛だろう。


『晴弥様。

お食事中に申し訳ありませんが、1つ、お伝えすることがございます』


風呂の準備を終えた瑞季が言った。

なんだ?朝っぱらからそんなかしこまって。


『言ってみろ』


『昨日、晴弥様がお部屋に戻られた後。

沙羅様が…泣いておられました』