「別に 名がなくて困ったことはない。 しかもここはもう出ていくし 名があっても…」 「………あんたの名は、柚子(ユズ)、だ。」 そう言ったのは 食事をもってきた、 雪野だった。 「あ?」 後ろを振り向き 雪野を見た。 「さっき中庭から 柚子の香がしたから」 「………い、いいね!! なあ、平助?」 「おう! オマエっぽい名だ」 「即席の名か…」 私は呟いた。