+++香澄side+++
電車で、本も読みたくなかった。
音楽も聞きたくなかった。
とにかく早く湊太くんに会いたかった。
でも…いざ湊太くんを見ると、
昨日の事が思い出されて、ものすごく恥ずかしくなった。
湊太くんのキス………
昨日布団に入ってから何度も思い出しちゃって、
ひとりで胸が苦しくなっちゃって、
なんか…今隣にいる湊太くんが見れない。
どうした?って覗き込まれて、ものすごい勢いで心臓がバクバクしちゃって、
手を触られて、思わず拒絶してしまった。
あ……違う…違うの…
「すごく…会いたかった…」
そう言ったら、また湊太くんが手を繋いできた。
「じゃあ…離すな」
そしてぎゅっと握った。
「うん……」
温かくて、自分より大きくて、自分より厚みのある手の平。
幸せ……
湊太くんがまた、私の顔を覗き込んだ。
目が見れない…
「俺の…彼女…だよな?」
ドキッとして湊太くんの目を見てしまった。
湊太くんは真剣な表情だった。



