ホームに二人立って、15分後に来る次の電車を待った。
「名前…聞いていい?」
坂本くんが隣から覗き込むように聞いてきた。
「龍ヶ平香澄です」
目を合わせないように、坂本くんと反対側に目を向けた。
「何年?」
「2年生です」
「なんだよ、一緒じゃん。
敬語やめよ、香澄ちゃん」
か………香澄ちゃん!!!
こんな初対面に近い異性に下の名前を呼ばれるなんて………
停学…いや退学になったらどうしよう………
「俺、坂本湊太。S校の2年。
湊太って呼んでよ」
え…!!!
む…………無理!
「呼べません!そんな…初対面で…下の名前を
しかも呼び捨てなんて…
失礼ですから!」
顔が……耳が…熱い。。
「ごめん……
じゃあ…湊太…くん?」
また、坂本くんが覗き込んできた。
湊太……くん……
くん付けなら……
「わ………わかりました。
じゃあ…そっちで呼びます」
坂本くんは、ますます覗き込んで
「呼んでみてくんないかな…」
そう言ってきた。
私はちょっと下から睨んで
「………湊…太くん」
とボソッと言った。
そしたら湊太くんは『ぶっ』と吹き出して笑って
顔を真っ赤にした。



