彼女の願いは、亡くなる前に付き合っていた彼氏にもう一度会いたいというものだった

僕はその彼を探した
見つけたのはクリスマスイブの日だった
僕が言った事を信じてもらえるか、心配だったが彼女の名前を出すと彼は会いたいと言った
その夜に彼女の希望で、誰にも邪魔されない病院の屋上に彼を呼んだ
「…ここに彼女がいるんですか」
「はい…」
『久しぶり…』
「……?」
「久しぶり…だって…」
彼には彼女の姿が見えなければ、彼女の声も聞こえてないようだった
「…久しぶり。ゆい?」
『よしくん…あのね、今までずっと好きだった…忘れた事なかった…』
「えっと……よしくん…あなたが好きだった…忘れた事がなかった…だって…」

そんな事は、聞きたくなかった
正直、逃げ出したかった
でも、伝える事が彼女の願いだと思うと逃げれなかった
「…ありがとう」
『でも、ごめん…』

「でも、ごめん…だって」

『彼を好きになったの…』
「……彼を好きになった……って?」
『私は淳くんが好きになったから…』
「……え?」
『…私はここにいる淳くんが好きだから、よしくんも幸せになってね』
「ええっと、好きな人がいるから…付き合えないから……幸せになってください…って」
「……ありがとう…幸せになるよ」