彼女が病室を出ていって間もなく、今夜の事で僕の頭の中は一杯になっていて一人であれこれ考えていた
そこへ、優子さんはやってきた
「淳くん、ちょっと時間良い?」
その優子さんの表情は、いつになく真剣だった
いつもの明るくて優しい表情との違いに驚きつつも、さっきまで彼女が座っていた椅子に優子さんをすすめた
「あのさ…淳くんは、彼女……ゆいちゃんの事…好き?」
その質問に、さらに驚いた
なんて答えたら良いのか迷ったが、自分の気持ちに正直に答える事にした
「えっと…正直…好きです。彼女が、ゆいちゃんが…」
僕が答えた瞬間だった
なぜか優子さんの眉間にしわが寄ったのが分かった
「あのね、淳くん…分かってないなら仕方ないね」
僕は、優子さんの話している事が全く分からなかった
「ちょっと来てくれる?」
優子さんは、ベッド脇に置いてある僕の車椅子を指差しながら言った
「…はい」
僕は訳の分からないまま、車椅子へ乗った
「どこへ行くんですか?」
「良いから…」