次の日ちかは昼休みからとても憂鬱だった。理由はよく解らないが放課後職員室に寄りなさいと担任の平田に言われたのだ。
新任の神谷が呼んでいるらしい…

(バカはマズかったかなあ、でもそんな事で呼び出すかなぁ…)「ハァ…」

「な~にため息ついてんだか」
ボーっとしているちかに麻里が話かけてきた

「憂鬱ぢゃん!何で職員室よ…晒し者になるよ…」

「大丈夫だって何かあったらメールしてきなよ!助けに行くから」
麻里が力強く言った。

「ありがと」クスッとわらいながらちかは答えた。


掃除を終えると職員室の前まで一緒に麻里にがきてくれた。

「ぢゃ ちか、がんばるんだぞ!」

ガッツポーズで立ち去る麻里に手を降りながらちかはドキドキしていた。
(ああ!もう!)意を決すると

「失礼しまーす」と職員室のドアを開いた。


夕陽が射し始めた職員室は少し眩しく、ちかは目を細めた。


職員室には思ったより人は少なく、がらんとしたイメージだった。
ちかは辺りを見回した。

「こっちだよ」

声のする方を向くと神谷が夕陽の中でこちらを向いていた。
足早に神谷に近付くと、ちかは彼の顔色を伺いながら言葉を待った。


神谷はちかを見ると少し困った顔で言った。

「お前、希望は西大だよな?」

「えっ? えっ? は、はい!そうですけど…」

神谷の少し肩透かしをくらった質問に戸惑いながらちかは答えた。

「この英語じゃ…無理だ。…お前、ちゃんと英語勉強してるか?」


「えっ?あっ、いや…は、はい…」

しどろもどろしているちかに神谷は苦笑いして、机の引き出しからノートを出すとちかの前に置いた。

「何ですか?これ…」

「通信教育みたいなもんだ」

神谷は少し笑った。

「え…?通信教育ですか…」

少し怪訝な顔をしたちかに

「ごちゃごちゃ言わないで持って帰ってやる!!」

とややキツイ口調で神谷が言った。

「は はい!」

ちかはそのノートを抱えると逃げる様に職員室を出て言った。