最初に二人で一緒に朝を迎えてから、准とちかは更にドンドン近付いて行った…

二人で待ち合わせて人目につかないように一緒に帰り、たまにはちかの好きなドーナツショップに寄ったりもした。神谷を引っ張り、プリント写真を撮り、たまに手を繋ぐ…。
人目をはばかる仲だったためそんな帰り道の時間が掛け替えのない二人の時間だった。

たまにちかは友人宅に泊まると親に言い訳して神谷と夜を共にし、抱かれた…。
神谷に抱かれる度、ちかはこの上ない幸せと切なさを感じた。

「何ぃ!!!!?寝たあぁぁぁ!?」

神谷との報告を聞いた初めて聞いた時、麻理はそう叫ぶとすごくテンションをあげて、色々突っ込んで来た。そして
「よかったねちか!色々と大変だと思うけど…私は出逢いって偶然じゃない!きっと必然なんだと思うから!頑張って!」
と言ってくれた。事実、麻理はちかの一番の理解者になってくれた。相談にのり、ちかのアリバイにも一役買ってくれた。

そんな神谷とちかの取り止めのない時間がしばらく穏やかに流れたある日


「遊園地に行きたい!」
ちかは帰り道の夕陽の中で神谷にそう言った。

「遊園地?」
神谷は少し驚いたようにちかを見た。夕暮れの陽に照らされてちかの顔は優しく輝いて見えた。

「ダメ?」
ちかが不安そうに神谷の顔を覗き込む

「いや、ダメってわけじゃないけと…」
「そっか、人に見られたら困るもんね」
ちかは少し残念そうに下を向いて笑った。神谷は少し立ち止まると、そのまま少し前を歩くちかに声をかけた

「なあ、ちか」
「え?…」
ちかは驚いたように神谷を見た。それもそのはずだった、神谷とこんな関係になっても彼はちかの事をいつも『青井』と呼んでいた。それが初めて今 ちか と呼んでくれたのだ…

「センセ…今、ちか って?」
ちかは神谷の顔を見つめた。

「そりゃそうだろ?カップルで遊園地行くんだ、青井 じゃ不自然だろ!お前も僕の事 先生 はやめろ」

神谷の言葉にちかは目を見開き涙を浮かべた

「いいの!?センセ!」
「だから、ほら!」
「あっ…」
ちかは恥ずかしいそうに 顔を赤らめると
「いいの?准…」
と尋ねた