エレベーターを降りて廊下を左へ、ちょうど長い廊下の中央あたりにある診察室のドアが開くのが2人から見える。
中から若い男性の看護士に押されながら、車イスに乗った患者が出てきた。
患者は車イスで頭を深く下げるようにうなだれている。薄手の緑色した入院着を来ている患者が顔をあげ、空ろな視線でちかの方を見上げた。

……?!


ちかの意識が、思考が、いや時間までもが止まった…

プラグを抜かれたコンピュータのように全ての力がぬけ、ちかは壁に手を付きながらその場に崩れ落ちていった…