駅を降りて市内で一番の賑やかな町を四人は歩いた。

道に並ぶショップの雰囲気は10月ともなるとどれももうすっかり冬の雰囲気のものだった。


麻里と小林ははしゃぎながら前を歩き、後ろをちかと森田が付いて行った。


「なぁ…青井」

「ん?」

森田が言葉を続けた

「お前、最近変わったよなあ」

お洒落したちかの少し大人びた姿を恥ずかしそうに見ながら森田は言った。

「え?そう?何が?」

「何がって…」

森田の言葉を遮るように麻里が叫んだ

「二人とも何してんの?!速く速くぅ!!!」

目的のショッピングモールの入り口でまりが小林と手招きしていた。

「あ、はーい!」

答えてちかが少し走った。森田が付いて行った。

入り口からエスカレーターに向かい目的のフロアまで上がる。

エスカレーターの降り際にちかがつまづいた。


「あ」

「危ない」

とっさに森田が手を出し、倒れそうなちかの腕を握って支えた。

「大丈夫か?」

ちかは慌てて森田の手を押し退け言った

「大丈夫 大丈夫!私 平らなところでもよく転ぶから」

苦笑いしながら答えたちかを森田は少し切な気に見つめた。

「…そうか…良かった」

「ありがとね!」

そう言ったちかは早足で麻里たちを追いかけた。

森田も少し送れて後についた。

四人でブラブラしながらあちこちのショップを見て回りながら ずっとはしゃいでいた小林が

「森田!どうした 元気なくね?」

と言った

「え!そんなことないよ…いつも通りだよ!」

「そか、ならいいけどよ。大丈夫かあ?」

「気にし過ぎなんだよ、お前は!」

元気に笑って見せて、森田はちかを見た。

しかしちかは何かに取りつかれたかの様に遠くを見ていた。

「ん?ちか どした?」

麻里が声をかけた瞬間

「ちょっとごめん!」

ちかが走り出した。

「ちょっ…!ちかぁ!」

麻里の声を無視して、いや 麻里の声はちかには届いてなかった。



ちかは走って 急に立ち止まり、慌てて物陰に身を隠した。

その視線の先には 神谷がいた。



そこにいる神谷は片手に子供を抱いていて、側には小学生くらいの子供の手を引いた女性が一緒にいた。