目を閉じソファーの背もたれに体を預けたちかは夜勤明けの疲れと、神谷の事で頭が混乱していた…


(どうして先生は倒れたのだろう?

どうして一人だったのだろう?

家族がいないって…どうして?

だって…先生には…)


ちかは大きく溜め息をついた…





当時神谷は学校から電車で一時間ほど離れた町のマンションに妻と子供二人の四人で暮らしていた。


大学を出て直ぐに結婚した神谷は結婚8年で

子供は小学生の1年生とまだ幼い子の二人。


妻は綺麗で評判の清楚な女性だった。


海での出来事から少したったある日曜日、ちかは親友の麻里と町の中心街に遊びに行った。


海で神谷に抱き締められてから、二人は気持ちが通じている…そんな気がちかはしていた。

付き合っている とかそんなんじゃないけど、とにかく気持ちは一歩進んだ…とちかは思っていた。

その日曜は麻里と食事をして、ショッピングモールのセールに行く計画だった。

二人はめいいっぱいお洒落して駅で待ち合わせ、電車に乗り込んだ。


電車の中で偶然同じクラスの男子 二人組と鉢合わせた。

その内の一人森田淳史はスポーツマンでイケメン男子だった。
活発でクラスの女子からも人気があった。

もう一人は小林伸一 お調子者のお笑い芸人の様な男子だ。彼もなかなかクラスの人気は高かった。

二人の男子はちか達を見つけると 席を立って近づいてきた。

近づいて来る二人に麻里が先に気付いた

「あ!」

「よう!どこ行くんだ?」

森田が笑顔で声をかけてきた。

「あ!東町だよ ショッピングモール S !」

麻里が笑顔で答えた。麻里は森田に好意を寄せていたのだ。


「え 一緒じゃん!」

小林がテンション高めに答えた

「なら、一緒に行かないか?」

森田がちかを見やりながら言った

「いいね!行こう行こう!」

麻里が弾んだ声で答えた

「ちょ… 麻里ぃ」

ちかが少し不服気に言った

「ダメか?青井」

森田がちかの顔を覗いた
「ダメじゃないけど…」

ちかはうつ向いた。

「じゃ決まり!」

小林が言った、森田は少し気にかかる風にちかを見た。