神様の暇潰し? 〜 The love story of mask human 〜



 帰りのホームルームが終了すると、クラスメイトのほとんどは部活動へと向かう。もちろん幼なじみたちも例外ではなく、翔太はサバイバルゲーム部、陽奈はペット飼育部へと向かった。


 この学校は部活動を推奨していて、生徒の要望があれば大体要望通りの部活動が設立される。そのため活動内容がイマイチわからない部活動も少なくないが、廃部になっていないということは部員がいるということなので学校側も文句はないのだろう。
 もちろん部活動を作るにあたってルール云々はあるのだが、そこら辺は俺の知ったことではない。




「さてと、帰って寝ますか」



 部活動に所属していない栄光の帰宅部である俺は、荷物を持つと学校に併設されている寮に向かって歩き出した。


 俺は親元を離れて寮で生活している、いわゆる寮生だ。学校の9割は自宅から通っている生徒だが、残りの1割の生徒用に学校指定寮が併設しているのだ。


 俺が初等高学年の頃からこの学校指定寮にいる理由は色々あるが、一番の理由は家に居たくないからだ。
 父はまだ俺が幼い頃に自殺し、俺は母の手ひとつで育てられた。だがそんな母とはいつしか心がすれ違い、そのままずっとずっとすれ違ったまま過ごしてきた。しかし俺はそんな家族関係に寂しいと思ったことはなかった。何故ならそんな家族、この世界にはありふれているのだから。


 既に日は傾き、綺麗なオレンジ色の空が広がっている。
 夕焼けを見ると少し悲しくなるのは俺の胸の中にしまわれている過去の思い出のせいだ。忘れたくても忘れられない、母との思い出のせいだ。