雨でびしょ濡れになりながらも、俺は主を探して町を歩き続けた。しかし何もわからない、何も見つけられない。あまりにもヒントが少なすぎる。
――どっか雨宿り出来るところで休憩しよう……凍えちまう。
雨が降り始めて二時間くらい経った時、俺は歩くのに限界を感じて雨宿り出来る場所を探した。人間ならすぐに雨宿り出来る施設があるのに猫になると途端に少なくなってしまう。コンビニに入れたらどれ程楽か、一瞬考えただけでもわかる。
――このままじゃ主なんて探せない。明日もこの姿のままなのか……?
雨に打たれながらそんなことを考える。いっそ猫として一生を生きていこうか、そんなことも考えた。人間の時も猫みたいな生活をしていたじゃないか。わざわざ人間に戻る必要性があるのだろうか。
そんなことを考えながら結局俺は自分が住んでいる学生寮へ帰ってきてしまった。雨宿りできる場所といえば、もうここしか思いつかなかったからだ。
――俺にはここしかないんだな……
窓から自室に入ろうとしたが、何故か窓が閉まっていた。これでは部屋に入れないではないか。
「おいおい……嘘だろ〜……」
何故閉まっているのかはおいておいて、これでは本当に凍死してしまう。体温も大分下がってきた気がするし、頭もふらふらする。早く暖まらなければ大変なことになる。

