神様の暇潰し? 〜 The love story of mask human 〜



 ゼウスは長い白髭を手で弄りながら俺に視線を向ける。




「昨日説明を忘れとった。主を探し、契約を行うまでは浄化時間は適用されん。つまり、君は主を探さねば永遠に猫のままじゃ」



 今更の説明御苦労なことだ。そんな後付け説明など、今更聞いても状況は変わらないというのに。




「ワシも見ての通りもう歳じゃ。多少のことは勘弁願いたいのう」



「これが多少のことか!」



 多少のことの訳はない。今日は平日なのだ。学校にいかなければならない日なのだ。無断欠席など多少のことで済まない。




「仕方無いのう。学校の欠席連絡はワシがしておこう。じゃから一刻も早く主を探しなさい」



「くそ……なんなんだよっ」



 理不尽なことばかりだ。昨日といい今日といい、厄日が続いている。




「あるがままを受け入れなさい。それが浄化戦を制する方法じゃ」



 ゼウスはそう言うとまた光に包まれて消えていってしまった。
 取り敢えず何故人間に戻れないのかは認めないにしろ、わかった。つまり主を探して契約を行えば浄化時間の効力が適用されるというわけだ。




「さっさと探さねぇと……」



 俺は昨日ゼウスに渡されたロザリオをくわえて窓から外に飛び出した。
 宛なんかあるわけがない。ただ、ゼウスは俺を導いてくれると言っていた。それだけが頼りなのだ。




――良い主に逢えるといいけど……



 まだ浄化戦に参加してもいないのに、不安は積もるばかりだ。