神様の暇潰し? 〜 The love story of mask human 〜



 金縛りが続き、足の筋肉が立っている状態を保つことが出来なくなった俺はそのままうつ伏せで床に倒れてしまった。残念ながらゼウスはそんな状態に陥った俺を見ても特に気にする様子もなく『本題』を進め始めた。




「君は、君の前世で一番君に近い動物になり、仕える主を探す。とりあえず、君は前世の姿になったほうが話も早かろ。ものは試しとはよく言ったもんじゃ。ほれほれ」



 ゼウスは有無を言わせず俺に杖を向ける。すると杖を眩い光が包み込み、俺にその光が移動し始めた。




「心配無用、痛くはないからのう。フォッフォッフォ」



 そうは言われても、俺の極度の緊張状態は続いている。まだゼウスを神様と信じていない分その思いはとても強い。ましてや今までの行いからして、ゼウスは神様ではなく悪魔のほうが相応しいとも思っていた。


 眩い光は俺を包み込んでくるくると回転しているように見える。俺の輪廻転生を逆回ししているかのようだった。




「そろそろかのう」



 俺が眩い光から解放されるのにそれほど時間はかからなかった。時にして十数秒くらいか。
 身体が少し熱くなった意外は特に痛くも痒くもない。確かにゼウスの言う通りではあった。




「ほうほう、君の前世は猫か。君にはぴったりだと思うわ。フォッフォッフォ」



 何だか視線の位置が異様に低く、全身に毛のような物を感じた。さらにゼウスの言葉が俺をさらに不安に陥れる。




「見てみるがよい」



 どこから取り出したのか、ゼウスは手鏡を手に持っていた。ユニコーンのような模様が施された手鏡は迫力があり、壮大な高級感を漂わせる。




「見なさい。これが君の姿だ」



 手鏡に映し出された自分の姿、それはなんと闇のように黒い、漆黒の猫だった。