坂口は無言で、こちらを見つめているままだった。 「情けないよね。 たった一度裏切られただけで、恋愛から逃げてるの。」 坂口は何も言わない。 なぐさめも、 はげましも、 私をけなす言葉すら、言わない。 「―お前だけじゃない。」 静まり返った保健室で、坂口は一言呟いた。 「俺の親父は自殺した。」