デアルクス~生き抜いて~

いきなり、魔物の背から何かが伸びた。

先の尖った何かが右肩、腹部、左の太ももの三ヶ所に突き刺さる。

「っあ゛ぁ!!」

と、叫ぶより早く、妖魔の影が倒れた。

一匹、二匹、三匹。


「遅かったか……。」
落ち着きながらも、後悔を含んだ声が聞こえた。

低くて優しいこの声は、ルーガ。

短めの金髪がわずかに光を反射していて美しかった。

一瞬、みとれてしまうくらい。

「ルーガ……。」

「ラテル……。」

ラテルが名を呼ぶとルーガは答える。

それで安心したのか、ラテルは気を失った。


「ゆっくり休めばいい。後は俺がやる。」

魔物は、まだ居るみたいだしな。