デアルクス~生き抜いて~

私は、
薄暗く、今にも崩れそうなビルの中で、一人、息を切らしていた。

右腕は
血で染まり、冷え、到底動かせそうにない。

脚がふらつき、壁にもたれ掛かった時に、限界だと気づいていた。

ギシッ ギシッ

床が軋む音で、奴が近づいて来るのがわかる。

「こんなにっ、近くに来るまで…気づけなかった、のか……」

そう、呟くように言うなり、残りの妖力を使い、長く黒い髪にあてる。

その髪はいくつかの束になり、伸び、剣のように変化して、床をさし、不安定な体を支えた。


「今の時代……人間だって、戦えるんだ。むしろ、ここまで生きていたのが……奇跡だよ」
そう、自分に言い聞かせる。

こうなるんなら、言っとけば良かったな…

そう後悔しながら最後に皆に会ったことを思い出した。

何故私がこの状態に陥ったのかは、数時間前にさかのぼることになる。