「ねぇ、これからどうするの?」


「さぁ。
取り敢えずここ泊まる。」


「泊まるってアナタ。」



事もなげに言うけど、つまりはオトコを部屋に泊めるわけであって…。



「だって、ここしか行く場所ねーだろ。」



確かに。



自分の家帰れって言いたいところだけど、難しいだろうし。



それに、



それに、恭也はあたしの初恋の人だ。



怖いなりにも少し嬉しい。



なんと言っても、こうやって話すのはなんと10年ぶりなんだから。



「わかった、泊めてあげる。」


「恩にきる。」



律儀に猫はお辞儀して見せた。






こうして、嶌子と恭也の同居生活が始まった。