NOTITLE




私は、仕事を早く、早く終わらせるために、懸命にパソコンを打った。



「会いたいから。」
という彼の寂しそうな声が、何度も何度も、思い出された。





―仕事、終わり。



「はぁー」
ため息をついて、
会社を出ると彼がいた。



でも……、

私の背後から走ってくる男性一人。
彼は見ている。
走ってくる男性は、紙を持っていた。
肩を叩かれ、振り向くと上司だった。
歳はあまり変わらない。



仕事の紙だった。

手渡してきたので、それを受け取り、
彼が見ているから、
彼のもとへ行こうとしたら、

上司が私を抱きしめた。