あれから時は立ったが、沖田の病状はますます悪化していた。


咳をするたびに体の節々は軋み、今では自力で立つ事さえままならない。



そんな沖田は、障子を開け放って庭を眺めるのが日課になっていた。


庭には、狂い咲きする一本の桜――。



(そろそろ、私のお迎えも来るのでしょうね…)



そんな事を、考えていると



一匹の大きな黒猫が、視界を横切った。


その黒猫は、沖田に挑発する様な眼差しを向けると、そろそろと桜の方へと近付く。