あれから8年、それから2年

彩は僕に背中を向けていたけど
すぐに気づいた。

後ろ手に下のほうで手をふり、
ニコッと唇の端で微笑んだ。

僕は自然に笑顔になる。

僕が笑うと、彩は恥ずかしそうに目線をちょっと下げる。

彩の周りにいる5人の女子は僕らの無言のやり取りには気づいていない。

皆僕らが付き合ってることは知ってる。でもだからといって、見せ付けるように毎朝イチャイチャしたりしたくない。

瞳だけで会話できたほうが通じ合ってるって思える。