バカバカしい。僕は自分にそう言い聞かせた。リカが僕に気がついて静かに携帯のフラップを閉じる。
僕はリカに手を差し出していった。
「そろそろ帰ろうか」
「うん」
リカが僕の手を握ってベンチから立ち上がる。いつものリカの小さな手。いつも僕の手より、少しだけ暖かい。
だけど、さっきまで携帯を握っていたリカの手は、ひんやりと冷たくなっていて、なんだか別人の手を握っているみたいだった。
ぎこちなくリカと手を繋ぎながら駅までの短い道のりを歩く。その時、僕はふと思った。
別人になってしまったのはリカではなく、自分自身なんじゃないか。湧き出た疑問に僕は身震いした。まさか自分が、知らぬ間に嫉妬深く、リカが携帯を開いているだけで、ビクついている情けない男になってしまったなんて。リカの手を握ってぎこちなく感じるのも

