どうか、消えないで

泣かないで

そんな悲しい顔をしないで・・・


「その過去の苦しさを、半分でもいいからあたしに分けて・・・受け止めるから・・・守るから・・・消えないでよ・・しょうくん・・」

「紗優・・・」


苦しかったね

辛かったね

いっぱい泣いたね



でも、これからはあたしが半分受け持つよ

全部が無理なら半分でいい

君がその人の事を思っていていいから

あたしに頼っていて・・・




「話してくれて・・・ありがと・・・」

君の全てを守るよ・・・

好きなんて届かなくてもいい

どうか消えないように、あたしに守らせてください



疑問が、一気に体からあふれ出した。

きっと、彼女が目を覚ました時に気づいてもらえるよう、歌っていたんだね・・

夢の中でも、君を思っていてほしくて、歌っていたんだね




あたしが大好きな声は、翔君の愛する人に捧げる声でした―――