俺の愛を、お前に捧げる

「いや、俺さ。結構長い間、奏太と一緒にいるけど、あんなに優しそうに微笑んだ奏太、初めてみたんだ」

恭祐はどこか遠くを見ながら話していた。


確かに、俺はあまり笑わないが
1回も笑ったことがない

なんてのはない。


「そうなんですか!?」

市之瀬はビックリした様子で声をあげた。

「そんな事ねえって。笑う事は少ねえが、笑う事はある」

誤解を説くかのようにすかさず俺は言った。


「違うよ。確かに俺も奏太の笑ったとこは結構あるよ。けどよ、あんなん笑ったに入んねえ。顔は笑ってても、心は笑ってない。目も笑ってない。そんなん死人の笑い方だ。

でも、今の奏太の笑ったとこ見て思ったよ。こいつも人間らしいとこ、あんだなってよ」



…俺、死人の笑い方なのか？

目が笑ってない？
心が笑ってない？


市之瀬に見せた笑顔は人間らしい笑顔？

一体どういう事だ――



………って、

人間らしいとこあんだな??