「いろはちゃん?」

美和が私の顔を覗き込む。

私はびっくりして、ついつい「うわっ!」と叫んでしまった。

「いろはちゃん、驚き過ぎ」

美和が笑っている。

「で、どうしたの?美和ちゃん」

私は笑っている美和をみて、少しだけ安心して、そう言った。

「教室、五月蝿いじゃん?」

「うん」

「と――――――!」

聞き取れなかった。

ホントにこの教室五月蝿い。

「今何て言った?」

私は大声で美和に質問した。

それでもギリギリ聞こえるぐらい。

「あれ?聞こえなかった?」

美和も周りの声に負けないように大きな声を出した。

「うん」という意味で私は首を上下に振る。

「図書室行こう!」

ようやく聞き取れた。

私達は机から離れて、4階の教室から出て、3階の図書室へと向かった。