「真剣なつもりないのにな・・・」

そう私が言うと美和はクスクスと笑った。

そして

「そりゃ、いろはちゃんは自分のコトだからわかんないよ」

と言った。

「自分のコトだからわかんない?」

「うん」

美和は時々、私に分からない様に難しい言葉で話す。

「自分が普通だって思う時は大概真剣なんだよ。ほら、私が本を読んでる時にいろはちゃんの話をスルーするみたいにさ」

よく分からない、というのが正直な感想だった。

私は美和の考えていることも分からないし、真剣の定理も曖昧だし・・・。

「美和ちゃんの話は私みたいな馬鹿には分からないよ」

すると美和は

「いろはちゃんより私のが馬鹿だよ」

と苦笑した。