「いろはちゃん?」
教室に入ると同時に、美和が私に話し掛けてきた。
不思議に思いながら、私は
「何?」
と答えた。
「いやぁ、その・・・」
「美和ちゃん?」
「大変言いにくいんだけどさ」
美和は勿体振ってなかなか言ってくれない。
「だから何?」
美和は私の顔をしっかりと見て、こう言った。
「顔、すっごいにやけてるよ?」
「何かあった?」と美和は心配そうに私を見る。
「にやけてる?」
私が?
「うん」
と美和は言う。
「いろはちゃんが、にやけてるよ?」
私はその言葉を聞くなり、走ってトイレに駆け込んだ。