「ち、こく……だぁああぁ!」


慌ただしくアパートの一室の扉を開いたのは、他でもないセイランだった。


セイランを始め学生は基本的に一人暮らしが多い。理由は単純明快、親まで超能力者であることが少ないから。


そんな中珍しくセイランの親は二人とも超能力者であるが、島ではなく世界超能力機関で働いているので、一人息子はこうして放任主義の下で育っている。



バタンと扉を閉めたところで、セイランは授業に間に合う最後の電車には間違いなく間に合わないと判断した。


「……仕方ない」


ため息を一つ、そして隣の一室の呼び鈴を鳴らす。


「……もう出たのか? いや、あいつはこの時間にはまだこの部屋にいるはずだ……」


そう呟いて、三回目の呼び鈴を鳴らし終えたところで、待ちに待った扉が開いた。