暗い夜の路地裏。

ある人物は目の前に倒れる女性を冷たく見下ろす。


その人物は自分の両手を見つめて、ゆっくりため息を吐いた。


「な、何をしているんだ!」


その人物と倒れている女性を偶然見かけた若い男性は、何事かと大声で叫び近付く。


若い男性に気付いたその人物は、慌てた様子で暗闇に駆け込んでいった。


「大丈夫ですか……」


追うのを諦めた男性は、すぐさま倒れている女性に声をかける。


反応はない。が、息はしている。どうやら気を失っているだけのようだ。


「まさか……またあの事件なのか……?」


男性の表情は険しいものだった。


超能力者養成島では今、ある事件が学生を中心として話題になっていた。