あの少年の青く澄んだ瞳の色が

忘れられないでいた。

あの日から一週間。

おかしなことが起こったのはあ

の日だけで、また元の生活に後

戻りしてしまっている。

いつもどうりに私は帰りの道を

歩いている。

一つ違う事といえば、泰葉が風

邪で休んでいる事ぐらい。

帰り道の脇にある小さな公園の

横を通ろうとした時だった。

風に揺れる長い黒髪。

後姿だがすぐに分かった。彼だ

と・・

彼は下を向きながら何かブツブ

ツ言っているようだった。

「浮宮さん?」

私は恐る恐る彼に近づき、声を

かけた。

その瞬間彼の青く澄んだ目は、

真っ赤な濃紅に変わり、怒りの

表情が見て取れた。

「どうしたんですか!?」

「あっあぁ。千代さんですか」

私が見えていなかったのだろう

か、声に気付いた彼の瞳はいつ

もどうりに戻って表情も穏やか

になっていた。