月光御伽



「てめぇら、朝妃に何の用だ。」

あ゙ぁ?とガラ悪く問いただすのは
私の"例外"。


『匠。』


葉月達は焦った様子でそそくさと
その場から逃げていった。
びびるのも無理はない。
こいつは森匠(モリタクミ)。
中学の頃から有名な不良野郎。
本人はそんなつもりはないらしいけど
本当に誰の手にも負えなかった。
ただ一人、それを手懐けていたのは
幼稚園児のときから私だけ。


その私の『喧嘩したいなら、ボクシングでもやれば?』
の一言でこの高校のボクシング部に入った。
少しは落ち着いたけど
見た目はただの金髪不良だ。