月光御伽



言ったは良いけどどうやって?
しばらくの沈黙で少し
自分がおかしいことに気付いた。



また、フッと彼は笑い出した。
馬鹿にした様な笑いだけど
嫌いじゃない。



─本当に可笑しな女だ。お前、名は?


『…朝妃。』
可笑しな女。に少しイラッとして
いつもより無愛想に答えた。



─…いい名だ。怒るな朝妃。

彼に呼ばれた自分の名前が
いつもより特別に思えた。


─俺を出してくれるか。


『私が出せるのなら、ね。』



─出せる。きっと朝妃は俺の"同類"だ。


『は?』


─とにかく、出せ。出し方は教える。あとは…礼もしなくてはな。


『お礼?何をくれるの。』


─望むもの何でも一つ。地位、名誉、富。何でもいいさ。言ってみろ。