月光御伽



お社から溢れている
淡く儚げな、それでも決して消えない
優しい光。


普段ならそんな怪しいものに
近付いたりしない。
今だって危ないと、離れなければと
そう思うのに足は確実に光に進む。
魅せられ吸い寄せられるように。



『誰か、いるの…?』


お社の扉に向かって声を掛けても
なんの返事も来なかった。ただ光はやはり消えない。


流石に気持ちが悪くなり
距離を取ろうと僅かに足が逃げる。



──せ…



『…こえ?』