そこで無理矢理、記憶の蓋を閉めた。 目を開くと静かで寂しい神社。 こんなところで匠を待っても あのときの様にまた 私は匠を傷付けてしまう。 誰よりも私と一緒に居てくれた 大切な匠を…。 私なんか、どこか遠く 誰にも迷惑の掛からない どこか遠くに 行ってしまったほうが 良いのかもしれない。 『─良いに決まってるわ。』 私の体を冷やす様に風が吹く。 顔に掛かった漆黒の長髪を 両手で掻き分けると 神社の異変に気付いた。