「ちっ、悪いっ。」 それからはよく覚えてない 優しい匠のことだから きっとすごく慌てたと思う。 私の怯えた様子と その理由が原因で。 きっとさっきの喧嘩で 匠も殴られたんだろうか 口の端に滲んでいた紅。 私の、大嫌いな 血の紅色─。